のどのつかえ感・胸やけ
のどに何かが詰まっているように感じたり、飲み込みづらさを覚えたりする、このような症状は消化器の病気であることがあります。
食事中あるいは食後に感じる方も多く、他の症状(咳や声がれなど)を伴うこともあります。
・異物感: のどに何かが引っかかっている感じがする
・飲み込みづらさ: 食べ物や飲み物をスムーズに飲みこめない
・胸やけ: 酸っぱい液体が口のなかにもどってくる、飲み込むと胸に痛みを感じる
・声の変化:声がかすれる、出しづらいと感じることがある。
・咳:風邪をひいていないのに空咳がつづく
・げっぷ:げっぷの回数が増えた
これらの症状がある場合、とくに2週間以上続く場合は一度受診をおすすめします。
考えられる病気
のどのつまり感や胸やけを引き起こす可能性がある疾患には、さまざまなものがあります。
それぞれ原因や症状が異なるため、適切な診断が必要です。
消化器系の疾患
逆流性食道炎
通常、胃と食道の境目は筋肉によって絞ってふさがっています。
食事をすると、この筋肉がゆるむことで食道から胃へ、食事がながれていきます。
逆流性食道炎のかたはこの筋肉が常にゆるんでおり、胃のなかの内容物が食道へ逆流しやすくなっています。
胃のなかは胃酸という酸性の液体が分泌されており、この胃酸が食道に逆流します。
胃酸が食道へ逆流すると、食道は酸性の液体にさらされることで炎症を起こしてしまいます。
これが逆流性食道炎がおこる原因です。
胸やけ、げっぷ、のどのつまり感、空咳などさまざまな症状をおこします。
胃バリウム検査では診断することができず、問診からの情報と胃カメラ検査で診断します。
食道アカラシア
食べ物を飲み込むと、食道の収縮運動(蠕動)により食べ物は胃へ輸送されます。
食道と胃の境目には筋肉があり、ふだんは筋肉が収縮することで閉じられていますが、食べ物が真上へ送られると筋肉がゆるみ(弛緩)、胃へ食べ物をおくります。
この一連の食道の蠕動や弛緩は、食道につながる神経によってコントロールされています。
食道アカラシアは、食道の運動をつかさどる神経が何らかの原因でうまくはたらかず、食道の蠕動や弛緩が起こらなくなってしまう病態のことです。
食べ物が食道を通過できなくなってしまうため、強いつかえ感を感じ、ひどいときは嘔吐してしまうこともあります。
逆流性食道炎だと思っていた方のなかには、実は食道アカラシアの方が隠れていることもあります。
胃カメラ検査で診断できる場合もありますが、軽症の方の場合には見つからないこともあります。
その場合は食道造影検査や、食道内圧測定など特殊な検査をすることで診断をします。
食道癌
食道に腫瘍ができ、食べ物や飲み物の通過を邪魔するようになると、のどのつかえ感を感じるようになります。
食道にできる代表的な腫瘍は食道癌です。
食道癌には癌ができる部位によって扁平上皮癌とバレット腺癌の2種類に分けられます。
日本人に多くみられる食道癌は扁平上皮癌です。
60代以上の男性に後発し、飲酒と喫煙がリスクファクターとなります。
アルコールに関しては、とくに飲酒をしてすぐに顔が赤くなる人(フラッシャー)がリスクが高いと言われています。
バレット腺癌は欧米人に好発し、日本では頻度はまれとされてきました。
しかし近年、食生活の欧米化などに伴い、日本でも有病率が増えてきているといわれています。
食道逆流症により、胃と食道の境目の粘膜がバレット食道に変性することがあります。
このバレット食道をもとにして、バレット腺癌を発症します。
3cmを超えるバレット食道の存在、喫煙、慢性的な胃酸の逆流(逆流性食道炎)などがリスクファクターになるといわれています。
いずれものどのつかえ感のほか、胸やけや痛み、進行すると声がれや血痰などが現れると言われていますが、早期の段階では無症状なことも多いです。
診断には胃カメラ検査が広く用いられています。
癌の進行度を確認する際には、造影CTやPET-CTがもちいられます。
耳鼻咽喉科系の疾患
扁桃炎・扁桃周囲膿瘍
扁桃とは、のどにあるリンパ組織のひとつであり、ウイルスや細菌から体を守る役割をになっています。
この扁桃に細菌感染を起こすと、赤く腫れあがり、ときに膿などによってのどを塞いでしまうこともあります。
最初はのどの痛みなどの風邪の初期症状からはじまり、通常は38度を超える高熱を伴いながら、重症になるとのどの周囲のつまり感や息苦しさを感じることがあります。
息苦しい、痛みで水も飲めない、つばを飲み込むことができず吐き出してしまうなどの症状があるようであれば、重症の可能性がたかく注意が必要です。
甲状腺腫大・甲状腺腫瘍
甲状腺とは首の下側にある、蝶のような形をした臓器です。
甲状腺ホルモンという、身体の代謝をうながすホルモンを生成分泌する働きをになっています。
この甲状腺がウイルス感染やホルモン異常の病気により腫れあがったり、大きな甲状腺腫瘍ができると、のどのつまり感を感じることがあります。
甲状腺ホルモンの異常が起こると、汗がとまらない、動悸がする、体重が急に減る(増える)、浮腫むなどの全身症状があらわれます。
甲状腺疾患を疑った場合には、血液検査で甲状腺ホルモンをしらべます。
また、甲状腺エコーにより甲状腺内の腫瘍を有無を調べます。
咽喉頭腫瘍
咽頭あるいは喉頭に腫瘍ができると、のどのつかえ感を自覚することがあります。
良性腫瘍、悪性腫瘍など原因はさまざまです。
声がれ(嗄声)を引き起こすこともあります。
耳鼻咽喉科でのファイバースコープにより診断がなされます。
診断への検査方法
のどのつかえ感や胸やけの原因を正確に診断するためには、一般的には以下のような検査が行われます。
血液検査
甲状腺疾患をつよく疑う場合には、血液検査により甲状腺ホルモンをしらべることで診断の助けとなります。
甲状腺ホルモン値の異常が見られた場合には、さらに詳細な検査にすすみます。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)
食道疾患を疑う場合には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)をおすすめします。
細い管の先端にカメラがついた内視鏡を、口あるいは鼻から挿入して食道・胃・十二指腸までを観察する検査です。
この検査によって、食道の詳細な観察をすることができるため、逆流性食道炎の診断のほか、食道癌の早期発見にも有用といわれています。
病気が疑われる場合には、一部組織を採取し、顕微鏡で細胞を見て診断する検査(病理検査)を行って診断します。
甲状腺エコー(超音波)検査
甲状腺の内部を超音波によって詳しく見ることができます。
これにより、甲状腺が大きく腫れているかどうか、血流が増えているかどうか、腫瘍があるどうかなどがわかります。
腫瘍がある場合には、良性腫瘍なのか、あるいは癌が疑われるかの当たりもつけることができます。
癌が疑われる場合には、針細胞診(病理検査)により診断をします。
当クリニックでできること
当クリニックでは、以下のような対応が可能です。
- 詳しい問診と診察:患者さん一人ひとりに寄り添い、丁寧に症状を伺います。
- 最新の内視鏡機器:痛みを最小限に抑えた胃カメラ検査を提供しています。
- 迅速な検査結果:内視鏡検査の結果をその場でお伝えします。
- 治療プランの提案:原因に応じて、薬物療法や生活改善の指導を行います。
- 病診連携:甲状腺疾患や耳鼻咽喉科疾患をうたがう場合には、適切な医療機関へご紹介いたします。
のどのつかえ感や胸やけは、さまざまな原因で引き起こされる症状ですが、正しい診断と治療で改善が期待できます。
放置すると症状が悪化したり、深刻な疾患が見逃される可能性もあります。
もし症状でお悩みであれば、ぜひ一度当クリニックへご相談ください。
あなたの症状に最適な治療法をご提案します。