膵のう胞
膵のう胞とは
膵臓にできる液体が中につまった袋状の腫瘍のことを指します。
多くが無症状で、検診やドックなどで偶然見つかることが多いとされています。
急性膵炎や慢性膵炎後に発症する炎症性のう胞や、外傷や手術後の膵液漏性のう胞などの非腫瘍性のものと、腫瘍性のものに分けられます。
腫瘍性ののう胞については①膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)②粘液性嚢胞腫瘍(MCN)③漿液性嚢胞腫瘍(SCN)などに分けられます。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とは
膵のう胞のなかでも一番頻度の高いのう胞性病変です。
嚢胞のできる場所によって、主膵管型と分枝型に分けられます。
多くが無症状ですが、IPMNにより膵液がつまると膵炎を発症し、腹痛・発熱・嘔吐などの症状がみられることがあります。
分枝型の癌化率は2%程度と言われており、多くが経過観察されています。
通常、分枝型IPMNと診断された方には、半年~年1回の腹部エコー検査や腹部MRI検査による経過観察をおすすめしています。
ただし、のう胞の大きさが3cm以上であったり、のう胞に結節や壁の厚みがあったり、膵管の流れが悪くなるような兆候があった場合には、手術となります。
一方、主膵管型は悪性度が高く、診断された場合は手術による切除をお勧めします。
粘液性嚢胞腫瘍(MCN)とは
中年女性に多く発症するといわれており、のう胞のなかに小さいのう胞が多発するような外観を呈します。
MCNは、IPMNと比較すると悪性度が高く、6~27%で悪性化するといわれています。
とくに嚢胞内部に腫瘍があったり、壁の石灰化(固くなること)がある、6cmを超える腫瘍の場合、癌の可能性が高くなります。
MCNと診断された方には、手術による切除をお勧めしています。
漿液性嚢胞腫瘍(SCN)とは
膵臓にできる良性ののう胞です。
MCNと同様、中年女性に多いとされていますが、IPMNやMCNと比較すると頻度はまれです。
悪性の報告も全国調査では数例ありますが、基本的には良性腫瘍で経過観察が選択されます。
ただし、癌との鑑別が難しい場合や、腫瘍による症状や出血があるは、腫瘍の大きさが4cmをこえる場合は外科切除が治療となります。
当院では、腹部エコー検査による膵のう胞の診断・フォローアップも行っております。
詳細な検査が必要な場合は、適切に高度医療機関と連携しています。
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