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【要注意】大腸がんと痔の血便の違い|見分け方と受診のポイント

[2026.03.12]
おしりからの出血に不安になった経験はありませんか。「きっと痔だろう」と自分に言い聞かせつつも、頭の片隅で「もしかして大腸がん…?」という不安がよぎる。その直感、決して無視しないでください。

実は、大腸がんは日本人のがん罹患数で上位を占めるほど身近な病気です。そして、その初期症状である血便は、痔のものと非常に見分けがつきにくいのが現実。しかし血の色や便への付き方、その他の症状に注目すれば、危険なサインを察知するヒントが隠されています。

この記事では、医師が注目するセルフチェックのポイントを徹底解説します。

まずはセルフチェック!大腸がんと痔の血便・症状の違い

おしりからの出血に気づくと、「もしかして、がん…?」と、誰でも不安な気持ちになりますよね。そのお気持ち、とてもよくわかります。

血便は、体からの大事なSOSサインです。でもご自身で判断してしまうのは、少し待ってください。大腸がんと痔では、血便の様子やその他の症状にいくつか特徴的な違いがあります。

これからお話しするポイントを参考に、まずはご自身の症状をじっくりと観察してみてください。

【血便の色】鮮やかな赤色 vs 暗い赤黒色

まず注目したいのは血の色。これは、出血している場所を突き止めるための、とても大きなヒントになります。

  • 鮮やかな赤色
    トイレットペーパーに付いたり、便器にポタポタと垂れるような鮮やかな赤色の血は、肛門のすぐ近くから出ているサインです。多くは、いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)が原因と考えられます。出血してから排泄されるまでの時間が短いため、血液が新鮮なままの色で出てくるのですね。

  • 暗い赤黒色
    便に混じったような、暗く赤黒い色の血は、少し注意が必要かもしれません。これは、出血してから時間が経っている証拠。肛門から遠い大腸の奥の方、例えば大腸がんやポリープなどから出血している可能性が考えられます。血液が便と混ざりながら大腸の中をゆっくりと移動する間に、古くなって黒っぽく変色するのです。

【要注意】色だけでの自己判断は禁物です
ただし、肛門のすぐ近くにできた大腸がん(直腸がん)の場合、痔と同じように鮮やかな血が出ることがあります。「鮮やかな赤色だから痔だ」と決めつけず、気になる症状があれば専門医に相談しましょう。

【血の付き方】便の表面に付着 vs 便に混じっている

血が便にどう付いているかも大切なチェックポイントです。

  • 便の表面に付着/トイレットペーパーに付く
    排便の最後に、便の表面に血が筋状に付いていたり、拭いた紙にだけ血が付いたりする場合は、痔の可能性が高いでしょう。硬い便が肛門を通り抜けるときに、いぼ痔や切れ痔をこすって出血するために起こります。

  • 便の中に混じっている
    血液が便全体に混ざり込んでいる、いわゆる粘血便(ドロッとした粘液と血が混ざった便)のような状態は、大腸の奥で出血しているサインかもしれません。便が作られる過程で血液が混ざり合うため、このような状態になります。大腸がんや大腸ポリープ、炎症性の病気などが疑われます。

血の付き方 考えられる原因
便の表面に付着 痔(いぼ痔・切れ痔)など
便と血が混ざっている 大腸がん、大腸ポリープなど
【その他の症状】排便時の痛み vs 腹痛や便秘・下痢

血便と同時に、他にどんな症状があるかにも目を向けてみましょう。

  • 排便時の痛み
    もし排便のときにと鋭い痛みを感じるなら、切れ痔(裂肛)が原因かもしれません。硬い便によって肛門の皮膚が切れてしまうため、強い痛みを感じるのです。
    一方で、いぼ痔の中でも肛門の内側にできる内痔核は、痛みを感じる神経がない場所にできるため、出血はあっても痛みがないことがほとんど。痛みがないからと放置してしまうケースもあるので注意が必要です。

  • 腹痛や便秘・下痢
    大腸がんが進行して大きくなると、腸の中が狭くなり、便が通りにくくなることがあります。その結果、お腹が張って苦しくなったり、頑固な便秘になったかと思えば急に下痢になったり…。便秘と下痢を繰り返す、便が急に細くなった、などの症状が続く場合は、一度きちんと検査を受けることをおすすめします。

【全身の症状】体重減少や貧血は危険なサイン

おしりやお腹の症状だけでなく、体全体の調子にも変化がないか確認してみましょう。

  • 貧血
    自分では気づかないような、ごくわずかな出血が毎日じわじわと続くことで、体内の鉄分が不足し、貧血が進行することがあります。「最近、立ちくらみがする」「なんだか体がだるくて疲れやすい」といった症状はありませんか?健康診断で貧血を指摘されたことが、大腸がん発見のきっかけになるケースも少なくありません。

  • 体重減少
    特にダイエットをしているわけでもないのに、急に体重が減ってきた場合も注意したいサインです。がん細胞は、増殖するために体の栄養をどんどん消費してしまいます。その結果、思い当たる節がないのに体重が減ってしまうことがあるのです。

これらの全身症状は、病気が静かに進行しているサインかもしれません。また、あくまでこの記事は一般的な症状を示しているのみです。「ただの痔だろう」「もう年だから」と自己判断で片付けずに、少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院へご相談くださいね。

血便の原因はがんや痔だけじゃない?考えられる他の病気

おしりからの出血に気づいたとき、「きっと痔だろう」と考える方は少なくありません。確かに痔が原因のことは多いのですが、血便はそれ以外の病気が隠れているサインの可能性もあるんです。

大腸がん以外にも出血を引き起こす病気はいくつか存在します。自己判断で様子を見ているうちに、大切な治療のタイミングを逃してしまうのは避けたいですよね。

ここでは、血便の原因となる大腸がんや痔以外の病気について、いくつかご紹介します。ご自身の症状と見比べてみてください。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸の粘膜にできるイボのようなものです。ほとんどは良性で、大きくなるまでは特に症状もありません。

しかし、ポリープの表面が硬い便でこすれて傷つくと、そこから出血して血便の原因になることがあります。出血量は比較的少なく、便の表面に血が筋のように付く、といったケースが多いでしょう。

実は、このポリープからの出血は、痔による出血と見た目がよく似ているため、見分けるのが難しいことも少なくありません。注意したいのは、ポリープの中には放っておくとがん化する可能性があるタイプも存在することです。

大腸カメラ検査であれば、検査の途中でポリープを見つけ、その場で切除することも可能です。これは、将来の大腸がんを予防するための、とても有効な方法なんですね。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、ただれ(びらん)や潰瘍ができてしまう病気です。比較的、若い世代の方にも見られます。

この病気による血便には特徴があり、ドロッとした粘液と血液が混じり合った粘血便(ねんけつべん)が出ることが多いでしょう。腸の粘膜が炎症で傷ついているため、血液と一緒に粘液も出てきてしまうのです。

血便のほかにも、

  • お腹がシクシクと痛む
  • 何度もトイレに行きたくなる下痢が続く

といった症状を伴うこともあります。原因がはっきりと解明されていないため国の指定難病にもなっていますが、お薬などで症状をコントロールすることは可能です。気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。

大腸憩室出血

大腸憩室(だいちょうけいしつ)とは、大腸の壁の一部が、外側に袋のようにポコッと飛び出したくぼみのこと。この憩室の中を通っている細い血管が何らかの理由で傷つくと、突然出血することがあります。これが大腸憩室出血です。

この病気の特徴はお腹の痛みなどを伴わずに、いきなり便器が真っ赤に染まるほどの血便が出ること。突然の大量出血に、とても驚かれるかもしれません。

特にご高齢の方や、便秘がちな方に起こりやすいとされています。出血は自然に止まることもありますが、繰り返す可能性もあるため、一度専門医に診てもらうことをおすすめします。

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)は、大腸に血液を送っている血管の流れが一時的に悪くなることで、大腸の粘膜に炎症が起きてしまう病気です。「虚血」とは、血が足りなくなる状態を指します。動脈硬化が進んだご高齢の方や、便秘で強くいきむことが多い方などに見られます。

この病気は、症状が現れる順番に特徴があります。

  • 突然の強い腹痛(特に左下腹部)
  • 腹痛の後に下痢
  • 最後に鮮やかな赤い血便

この順番で症状が出ることが多いでしょう。一過性のもので自然に良くなることもありますが、まれに腸が狭くなってしまうなどの後遺症が残るケースも。急な腹痛に続いて血便が見られた場合は、この病気の可能性も考えて早めに受診しましょう。

迷ったらすぐ受診を!病院へ行くべき症状と診療科の選び方

おしりからの出血に気づいた時、ドキッとしますよね。「きっと痔だろう」と思いたいけれど、万が一のことを考えると不安になる…。そのお気持ち、とてもよくわかります。

血便は、ご自身の体を守るための大切なSOSサインです。自己判断で様子を見てしまうと、大切な治療のタイミングを逃してしまうかもしれません。

大腸がんは、実は日本人にとって、とても身近な病気の一つなんです。でも、決して怖がりすぎる必要はありません。もし何かあれば、早めに専門家と一緒に対応していくことが、安心への一番の近道になります。

何科に行けばいいか迷ったら、まずはお腹やおしりの専門家である「消化器内科」や「肛門科」を受診してくださいね。

こんな血便はすぐに消化器内科・肛門科へ

血便とあわせて、次のような症状が一つでも気になる場合は、一度お腹の専門家である消化器内科や肛門科に相談してみましょう。これらは、大腸がんや、大腸の粘膜に炎症が起きる病気のサインかもしれません。

  • 血便が何回か続いている、または出血量が増えてきた
  • 便にドロッとした粘液が混じっている
  • 急に便秘がちになったり、下痢をしやすくなったりした
  • 便が鉛筆のように細くなったと感じる
  • お腹が張って苦しい、またはシクシク痛むことがある
  • ダイエットをしていないのに、体重が減ってきた
  • 健康診断で「貧血ぎみですね」と言われた

特にお腹の痛みや便通のリズムの変化が伴う場合は、おしりだけでなく、大腸全体を詳しく調べる必要があるかもしれません。

大腸がんは、早い段階で見つけることができれば、体への負担が少ない治療法を選べる可能性がぐっと高まります。気になるサインを見逃さず、ご自身の体をいたわってあげてくださいね。

医師に正しく伝えるための問診準備リスト

診察のとき、緊張してしまってうまく症状を伝えられるか不安…。そんな方は、ぜひ簡単なメモを用意してみてください。

ご自身の症状を正確に伝えることは、的確な診断への大切な一歩です。そして何より、これからどうしていくかを医師と患者さんが一つのチームとして一緒に考えていく上で、とても重要な準備になります。

【これだけメモしておけば安心!問診リスト】

▼血便のこと

  • いつから?(例:昨日から、1週間前から)
  • 血の色は?(例:真っ赤、黒っぽい赤)
  • 血の量は?(例:紙につくだけ、ポタポタ垂れる)
  • 血の付き方は?(例:便の周りについている、便と混ざっている)

▼お体全体の症状

  • お通じのとき、痛みはある?
  • お腹の痛み、便秘、下痢はある?
  • 最近、急に痩せたり、疲れやすくなったりした?
  • ご家族(血縁者)に大腸がんになった人はいる?

これらをスマホのメモ機能などに入れておくだけでも、診察がぐっとスムーズに進みますよ。

大腸カメラは痛い?恥ずかしい?検査の不安を解消します

血便の原因を詳しく調べるには、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)がとても大切な検査になります。でも、「痛いんじゃないかな…」「おしりの検査は恥ずかしい…」と、不安を感じる方もきっと多いですよね。

ご安心ください。最近の検査は、皆さんのそうした心や体への負担をできるだけ軽くするための工夫がたくさんあるんです。

例えば、鎮静剤というウトウトするお薬を使えば、ほとんど眠っているようなリラックスした状態で検査を終える方が多いです。鎮静剤を使用することで、多くの方がリラックスした状態で検査を受けています。

プライバシーに配慮し、専用の検査着の用意や落ち着いた環境づくりに努めています。検査のときには、おしりの部分だけが開くようになっているズボンタイプの検査着をはいていただきますし、周りの目が気にならない落ち着いた環境で検査を行います。特に当院は女性医師が検査を担当しますので、女性の方も気兼ねなくご相談くださいね。

そして、大腸カメラの良いところは、ただ見るだけの検査ではないこと。

  • 確定診断ができる:もし怪しい部分が見つかれば、その場で組織を少しだけ採ってきて、がん細胞があるかどうかを詳しく調べられます(生検)。
  • がんの予防もできる:将来がんになる可能性のあるポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。

このように、大腸カメラは診断から治療、そして未来のがん予防までできる、とても頼りになる検査なんです。

まとめ

今回は、大腸がんと痔の血便の違いや、受診の目安について詳しくお話ししました。
おしりからの出血に気づくと、誰もが不安になるものです。「きっと痔だろう」とご自身で判断したくなるお気持ちも、とてもよくわかります。

しかし、血便は体からの大切なSOSサインです。色や症状からある程度の推測はできても、自己判断で重大な病気のサインを見逃してしまうのは避けたいですよね。

大腸がんは、早期発見・早期治療ができれば、決して怖い病気ではありません。少しでも気になる症状があれば、どうか一人で抱え込まず、お気軽に消化器内科や肛門科の専門医へご相談ください。その一歩が、ご自身の体を守り、未来の安心へと繋がります。

 

参考文献

  1. 市民のみなさまへ|日本大腸肛門病学会
  2. 大腸癌研究会ガイドライン2024

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