プラセンタ治療について
プラセンタエキスは、ヒトやブタなどの哺乳類の胎盤から、有効成分を抽出したものです。
胎盤とは、妊婦の体内で胎児と母体をつなぎ、胎児を育てる臓器です。
もともと女性の体に備わっているものではなく、妊娠とともに初めて作られ、出産とともに役目を終えると体外へ排出されます。
この時点でも豊富な栄養を含んでいるため、医薬品の有効成分となっているほか、化粧品や健康食品にも用いられています。
プラセンタ治療の歴史
胎盤による治療は、健康と美容のためにつかわれてきた長い歴史があります。
古くはクレオパトラや楊貴妃、マリーアントワネットが愛用したなど言われていますが、明確な史実の記録はありません。
最初に言及したのは中国の唐の時代、『本草拾遺』(ほんぞうしゅうい)という薬の本にプラセンタについての記載があります。
現在のようにエキスを抽出した注射製剤の形になったのは、旧ソ連時代のロシアといわれています。
さまざまな動物実験の際、疾病の治癒に胎盤が有効であることが見出されました。
日本では太平洋戦争後に栄養剤の開発がすすめられたことをきっかけに、胎盤から経口栄養剤がつくられたことから端を発しています。
当院で採用しているような、注射製剤が開発され認可されたのは1956年のことです。
プラセンタ研究の一人者である稗田憲太郎博士が、肝硬変の薬として注射薬「ラエンネック」を開発、現在に至るまで広く流通しています。
プラセンタの有効性
ブタプラセンタエキスの効果は欧米でも注目を浴びており、培養細胞や実験動物をもちいた研究が盛んにおこなわれています。
また、徐々にではありますが、ヒトを対象とした研究も行われており、成果報告は増加しています。
以下には、動物実験などで効果が示された項目です。
- 肝庇護作用
- 抗酸化作用
- 美容作用:線維芽細胞やコラーゲンの増加、しわ・肌質の改善、色素沈着の改善
- 女性更年期症状の改善
- 加齢男性精選機能低下症候群(LOH症候群)の改善
- 肩こり改善
- 膝痛改善
- 認知機能改善
- 骨密度改善
とくに肝庇護作用および女性更年期症状に対しては、多くの研究報告があります。
日本では一部保険適用の治療としても承認を受けています。
プラセンタの安全性
当院で採用しているプラセンタ(ラエンネック®、メルスモン®)は、ヒト由来のプラセンタを減量として製造されます。
ウイルスや細菌が製剤に混入しないよう、製造にあたっては以下の感染防止対策をとっております。
① ドナースクリーニング:プラセンタを提供くださる方に、細菌・ウイルス検査を行います。
② 受け入れ検査:集められたプラセンタすべてにウイルス検査を行います。
③ 高温(高圧蒸気)滅菌処理:製造工程の最後に121℃、20分間の滅菌処理を行います。
④ 製品試験:製品のウイルス検査を行います。
このように3回にわたり検査を行い、滅菌処理を行うことで、以下の感染症の陰性を確認しています。
- 梅毒
- 結核
- 淋病
- B型肝炎
- C型肝炎
- エイズ(後天性免疫不全症候群)
- 成人T細胞白血病
- 伝染性紅斑(リンゴ病)
プラセンタの副作用
まれではありますが、プラセンタの注射により過敏症(発疹・発熱・かゆみなど)の症状が現れる場合があります。
頻度は約3.0%未満といわれています。
重症なものではアナフィラキシーショックといって、息苦しさが出たり、血圧の低下、意識障害が認められることがあります。
このような症状が出た場合や、不安に思われる方は必ず医師にご相談ください。
また、筋肉注射や皮下注射の影響で注射周囲が赤くなったり、硬くなるなどの症状が起こることがあります。
投与方法や部位を変えるなどの対応を致しますのでご相談ください。
注意事項
プラセンタ注射を受けられた方は、厚生省の指針により献血ができなくなりますので、ご注意ください。
これは変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)について、献血時の血液検査で除外することができないため、念のための対応です。
現在のところ、プラセンタの注射薬と関連したvCJDの発生報告はありません。
料金
本数 | 価格 |
1本 | 1,100 円 |
2本 | 2,200 円 |
3本 | 3,300円 |
※ 上記薬剤費のほか、初回の方には初診料3,300円、2回目以降の方には再診料300円がかかります。(2024年5月1日以降)