夏に胃もたれしやすい原因とは|暑さで胃腸が弱る理由を紹介
暑い日が続くと食欲がなくなり、胃が重く感じることはありませんか。単なる夏バテだと思いがちですが、その不調は胃腸が発するSOSサインかもしれません。
暑い環境にいるだけでも胃の運動機能が低下することは、研究でもわかっています。この記事では、夏の胃もたれを引き起こす3つの原因から、症状に合わせた市販薬の選び方、危険なサインの見分け方までを詳しく解説します。
ご自身の症状と照らし合わせながら読み進めることで、今すぐできる対処法や受診の目安が明確になります。つらい不調を乗り越え、来年の夏を快適に過ごすための体づくりを始めましょう。
夏の胃もたれ?危険な病気との見分け方
夏の胃もたれは、単なる夏バテだけでなく、注意が必要な病気が隠れているサインかもしれません。
暑い季節に胃の調子が悪いと、「きっと夏バテだろう」とつい軽く考えてしまいがちですよね。しかし、その不調は、ご自身の体が発している大切なSOSである可能性もあります。
ご自身の症状を客観的に見つめ、他の病気の可能性と見分けるためのポイントを解説します。

夏バテだけじゃない胃もたれセルフチェック
まずは、ご自身の胃の不調が、夏の生活習慣からくるものか、以下の項目でチェックしてみましょう。
- □ アイスや冷たい飲み物をよく飲む
- □ クーラーが効いた涼しい部屋と暑い屋外の行き来が多い
- □ 暑くて寝苦しく、ぐっすり眠れていない気がする
- □ 食欲がなく、そうめんなどサッパリしたもので済ませがち
- □ 胃がずっしり重たく、食べたものが消化されていない感じがする
- □ 仕事やプライベートでストレスを感じている
いくつか当てはまるなら、夏の暑さや生活習慣による胃腸の疲れが原因かもしれません。
実際に、暑い環境で過ごすだけでも胃の運動機能が落ち、胃もたれや不快感を引き起こしやすくなることが研究でもわかっています※。ただの夏バテではなく、胃の機能が本当に低下している状態だといえます。
食中毒や逆流性食道炎との症状の違い
胃もたれと似た症状でも、原因となる病気によって特徴的なサインは異なります。
特に夏に注意したい食中毒や、胸やけなどを伴う逆流性食道炎との違いを知っておくことが、セルフケアや受診の判断に役立ちますよ。
ご自身の症状と照らし合わせられるよう、下表に整理します。
| 症状 | 夏の胃もたれ(夏バテ) | 食中毒 | 逆流性食道炎 |
|---|---|---|---|
| 主な症状 | ・胃の重さ ・食欲不振 ・全身のだるさ |
・激しい腹痛 ・嘔吐、下痢 ・発熱 |
・胸やけ ・酸っぱいものがこみ上げる(呑酸) ・長引く咳 |
| きっかけ | ・暑さ ・冷たいものの摂りすぎ ・生活リズムの乱れ |
・原因となる食べ物を食べてから数時間〜数日後 | ・食後すぐ横になる ・食べ過ぎ ・脂っこい食事の後 |
| 特徴 | ・特定のきっかけがなく、不調がだらだら続く | ・突然、激しい症状が現れる ・一緒に食事をした人にも同じ症状が出ることがある |
・食後や夜間に症状が出やすい ・慢性的に繰り返す |
このように、伴う症状や不調が現れるタイミングに違いが見られますね。
この症状はすぐ病院へ!危険なサイン
いつもの胃もたれとは違う、以下のような症状が見られる場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。
これらは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食中毒(アニサキス症など)、場合によっては胃がんといった、速やかな治療が必要な病気が隠れているサインの可能性があります。
- 経験したことのないような激しいお腹の痛み
- 何度も繰り返し吐いてしまう
- 便に血が混じる、または海苔の佃煮のような真っ黒い便(タール便)が出る
- 胸が締め付けられるような強い痛みがある
- ダイエットをしていないのに、急に体重が減った
- 水分を摂るのもつらいほど、ぐったりしている
上記に一つでも当てはまる場合は、自己判断で様子を見るのは危険かもしれません。
「どうせ夏バテだから」と我慢せず、ご自身の体の声をしっかりと聞いてあげることが何よりも大切です。不安な時は、医療機関に相談しましょう。
なぜ夏は胃がもたれる?暑さで胃腸が弱る3つの理由
夏の胃もたれは、①主に胃腸の冷え ②自律神経の乱れ ③睡眠不足という3つの原因が複雑に絡み合って起こります。
これらの原因が重なると、食べたものをうまく消化できなくなったり、食欲そのものがわかなくなったりと、つらい「夏バテ」の症状につながってしまうかもしれません。
一つひとつの原因を詳しく見ていきましょう。
冷たいものの摂りすぎと消化機能の低下
暑い日に冷たいものを摂ると、胃が直接冷やされて消化機能が低下し、胃もたれの原因になります。
キンキンに冷えた飲み物やアイスは、夏の楽しみの一つでもありますね。しかし、これらを一気に摂ると胃の中の温度が急激に下がり、消化活動がストップしてしまう可能性があります。
食べ物を分解する消化酵素は、私たちの体温に近い37℃前後で最も元気に働きます。ところが、胃が冷えると消化酵素の働きが鈍くなり、食べ物がなかなか消化されません。
その結果、いつまでも胃に食べ物が残り、ずっしりとした重さや不快感につながるわけです。
さらに、暑い環境にいるだけでも胃の動きは悪くなることがわかっています。
ある研究では、暑い環境(35℃)で運動すると、適温の環境(22℃)に比べて胃の動きが鈍くなり、胃もたれや不快感が強くなったと報告されています※。
冷たいものを摂っていなくても、夏の暑さそのものが胃に負担をかけているといえるでしょう。
屋内外の温度差による自律神経の乱れ
涼しい室内と暑い屋外の行き来が激しいと、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが悪くなることがあります。
私たちの体には、体の機能を自動で調整してくれる自律神経が備わっています。
活動モードの交感神経(アクセル)と、リラックスモードの副交感神経(ブレーキ)がシーソーのようにバランスを取っているイメージです。
胃腸の消化活動は、体がリラックスしているとき、つまり副交感神経が優位なときに活発になります。
しかし、夏の暑い屋外と冷房の効いた室内を何度も行き来していると、体は体温を一定に保とうと必死になります。この急激な温度変化が大きなストレスとなり、自律神経のバランスを崩してしまうかもしれません。
その結果、食事の時間になっても消化の準備が整わず、次のような不調が起こりやすくなります。
- 胃酸の分泌がうまくいかない
- 胃が食べ物を腸へ送り出す動き(ぜん動運動)が鈍る
これが、夏の胃もたれや食欲不振の正体の一つです。
暑さによる睡眠不足と食欲不振の関係
寝苦しい夜が続いて睡眠が不足すると、自律神経が乱れて食欲がなくなり、胃もたれを引き起こしやすくなります。
「暑くて何度も目が覚める」「朝から体がだるい…」そんな経験はありませんか?
睡眠は、日中の活動で疲れた体を修理し、心のバランスを整えるための大切なメンテナンス時間です。
この時間が十分に取れないと、体の疲れが抜けきらないだけでなく、胃腸の働きをコントロールしている自律神経の乱れにもつながります。
体が疲れていると、消化というエネルギーをたくさん使う活動を無意識にセーブしようとするため、自然と食欲がわきにくくなるのです。
そんな状態で無理に食事をすると、ただでさえ弱っている胃腸が対応できず、胃もたれを起こしてしまうという悪循環に陥りがちです。
先に述べたとおり、暑い環境はそれだけで胃の働きを低下させることがわかっています。睡眠不足が重なると、その影響はさらに大きくなるかもしれません。
今すぐできる胃もたれの応急処置とセルフケア
つらい夏の胃もたれを感じたら、まずは胃腸を物理的に休ませ、負担を減らすセルフケアが回復への第一歩です。
夏の暑さだけでも胃の動きは鈍くなるため、知らず知らずのうちに胃腸は疲れ切っているかもしれません。食事の内容を見直したり、お腹を温めたり、ご自身ですぐにできることから試してみましょう。

胃の不快感を和らげる食事と飲み物
胃の不快感を和らげるには、消化が良く、人肌程度に温かい食事が基本です。
暑い環境にいるだけでも胃の運動機能は低下しやすいことがわかっているため※、弱った胃に追い打ちをかけない食事が、回復への一番の近道といえます。
具体的には、以下のような食事がおすすめです。
- 飲み物:白湯や常温の水、ノンカフェインの麦茶などで、こまめに水分を摂りましょう。
- 主食:おかゆや、クタクタになるまで煮込んだうどんが最適です。
- タンパク質:消化しやすい豆腐や、脂肪の少ない鶏のささみ、たら・かれいといった白身魚を選んでみてください。
- 野菜:大根、かぶ、キャベツ、かぼちゃなどを、形が崩れるくらい柔らかく煮込んだスープやポタージュは、栄養も摂りやすいですよ。
調理の際に食材を細かく刻んだり、すりおろしたりするひと手間も、消化の助けになります。
胃に負担をかける避けるべき食べ物リスト
胃もたれ中は、消化に時間がかかったり、胃の粘膜を直接刺激したりする食べ物はお休みするのが賢明です。
弱った胃にさらに仕事をさせると、症状の悪化や回復の遅れにつながってしまうかもしれません。具体的には、次のような食品に注意してください。
- 脂っこいもの:天ぷらなどの揚げ物、ラーメン、豚バラ肉やカルビといった脂身の多い肉、生クリームたっぷりのケーキ
- 刺激が強いもの:唐辛子やこしょうなどの香辛料、炭酸飲料、アルコール、コーヒーや濃い緑茶などカフェインが多い飲み物
- 消化しにくいもの:ごぼう、きのこ類、海藻類(これらは普段は体に良い食品ですが、弱った胃には食物繊維が負担になることも)
- 温度が極端なもの:キンキンに冷えたジュースやかき氷、熱々のスープや鍋料理
まずはこれらの食事を控えて、胃をしっかりいたわってあげましょう。
食欲がない時は食べるべき?食事を抜くべき?
食欲が全くわかない時は、無理に固形物を食べる必要はありません。まずは胃を休ませることを最優先してください。
食欲がないのは、「今は消化の仕事をお休みしたい」という体からのサインかもしれません。
ただし、食事を抜く場合でも、脱水症状を防ぐための水分と塩分(ミネラル)の補給はとても重要です。常温の麦茶や経口補水液などを、コップ1杯を一度に飲むのではなく、少量ずつ、こまめに口に含むようにしましょう。
少し食欲が戻ってきたら、次のように段階的に食事を戻していくのがおすすめです。
- ステップ1:胃への負担が最も少ない「重湯(おもゆ)」や、具のない野菜スープから試す。
- ステップ2:おかゆ(五分粥→全粥へ)や、くたくたに煮込んだうどんを少量食べる。
- ステップ3:豆腐や白身魚など、消化の良いおかずを少しずつ加えていく。
もし数日経っても食欲が戻らない、あるいは水分を摂るのもつらい、といった場合は我慢せず、お早めに私たちのような医療機関へご相談くださいね。
症状に合った市販薬の選び方
市販の胃腸薬は、ご自身の症状に合わせて適切な種類を選ぶことがとても大切です。
胃の不調と一言でいっても、食べ過ぎの重さ、夏バテによる食欲不振、ストレスからくるキリキリ感など、原因によってアプローチは全く異なります。
症状に合わない薬を選んでしまうと、効果が期待できないばかりか、かえって胃に
負担をかけてしまう可能性もゼロではありません。
ここでは代表的な3種類の薬について、それぞれの得意分野を解説しますね。
消化を助ける「消化酵素薬」
消化酵素薬は、食べ過ぎや脂っこい食事による胃もたれを感じるときに頼りになるお薬です。
この薬には、食べたものを分解してくれる消化酵素が含まれており、いわば消化の助っ人として胃の作業を手伝ってくれます。
炭水化物やタンパク質、脂肪など、それぞれの栄養を分解する酵素が、弱った胃の代わりに働いてくれるイメージですね。
こんな時におすすめ
- つい食べ過ぎてしまった後の、胃がずっしり重い感じ
- 焼肉や天ぷらなど、脂っこい食事の後の不快感
- 食べたものがいつまでも胃に残っているような消化不良感
バーベキューや飲み会で、いつもよりたくさん食べて胃が重たい…そんな時に役立つかもしれません。
ただし、この薬はあくまで消化を手伝うのが役割です。胃の働きそのものを元気にさせるわけではないので、夏バテで根本的に食欲がない時には、あまり向いていないといえるでしょう。
弱った胃の働きを助ける「健胃薬」
健胃薬は、夏の暑さで胃がバテてしまい、食欲がわかないときに役立つお薬です。
生薬成分などが配合されていることが多く、弱ってしまった胃の運動を活発にしたり、消化液の分泌を促したりすることで、胃が本来持っているやる気を引き出してくれます。
こんな時におすすめ
- 夏バテで食欲がわかない
- 胃が重く、何となくスッキリしない
- 普段より食事がおいしく感じられない
ちなみに、胃腸の調子を整えるには腸活が大事とよくいわれますが、胃の症状との関係は少し複雑です。
例えば、ある研究では、腸内環境を整えるプレバイオティクスを摂ることで、暑さや運動による腸へのダメージが和らぐ可能性が示されました。しかし、その同じ研究で、胃もたれなどの自覚症状の改善には直接つながらなかった、という興味深い結果も報告されているんです※。
市販薬はあくまで一時的な助けです。根本的な改善のためには、やはり食事や生活習慣の見直しも大切にしたいですね。
胃酸を抑える「制酸薬」
制酸薬は、出すぎてしまった胃酸の働きを抑え、胸やけや胃のキリキリとした痛みを和らげるお薬です。
夏の不規則な生活やストレスで胃酸のバランスが崩れると、胸やけやむかつきを感じることがあります。この薬は、過剰な胃酸を直接中和したり、胃酸の分泌そのものをブロックしたりする成分が含まれています。
こんな時におすすめ
- 胸のあたりが焼けるように熱い感じがする(胸やけ)
- すっぱいものや苦いものがこみ上げてくる(呑酸)
- 空腹時に胃がキリキリと痛む
こうした症状は、逆流性食道炎といった病気が隠れている可能性も考えられます。
もし市販薬を2〜3日試しても症状が良くならない、または症状を繰り返すという場合は、自己判断で様子を見続けるのは禁物です。市販薬を2〜3日試しても症状が良くならない、または症状を繰り返すという場合は、消化器内科への受診を検討してください。
病院に行くべきか悩んだら|受診の目安と診療科
セルフケアを試しても夏の胃もたれが良くならないときは、医療機関の受診が次のステップです。
「きっと夏バテだろう」とやり過ごしている不調が、実は治療が必要な胃腸からのSOSサインかもしれません。
「病院に行くべきか」「何科に行けばいいのか」そんな迷いを解消するために、受診を考える具体的なタイミングと、診療科の選び方について、わかりやすくお伝えしますね。
何日以上症状が続いたら受診すべき?
食事や市販薬を工夫しても、2〜3日以上すっきりしない不調が続くなら、一度医療機関で相談することをおすすめします。
市販薬は、症状が軽い場合にはとても頼りになります。しかし、薬を飲んでも効果が感じられない、あるいは飲むのをやめるとすぐに症状がぶり返してしまう、という場合は、根本的な原因が他にあるのかもしれません。
特に、次のような状態が続いている場合は、「夏バテだから」と我慢せずに受診を考えてみてください。
- 胃もたれや食欲不振が3日以上続いている
- 市販の胃腸薬を飲んでも、症状がまったく改善しない
- 最初は軽かったのに、日に日に症状が重くなっている気がする
前の章でご紹介した「すぐに病院へ行くべき危険なサイン」に当てはまらない場合でも、地味につらい症状が長引くのは不安ですよね。
地味につらい症状が長引く場合は、一人で抱え込まず専門家に相談することを検討してください。
何科に行けばいい?内科と消化器内科の違い
胃もたれや腹痛など、お腹の症状がはっきりしている場合は、最初から「消化器内科」を受診するのがスムーズです。
「内科」と「消化器内科」、どちらも体の不調を診てくれる場所ですが、得意とする分野に少し違いがあります。
| 診療科 | こんな時に | 特徴 |
|---|---|---|
| 内科 | ・どの科に行けばいいかわからない ・熱や咳など、お腹以外の症状もある |
・体の不調全般を幅広く診察する「総合窓口」のような役割 ・必要に応じて専門の科へ案内してくれる |
| 消化器内科 | ・胃もたれや腹痛、胸やけが気になる ・便の調子が悪い(便秘・下痢) |
・食道、胃、腸、肝臓など「消化」に関わる臓器の専門家 ・胃カメラなど専門的な検査で原因を詳しく調べられる |
夏の暑さだけで胃の動きが鈍くなることは、研究でもわかっています※。
しかし、その不調が夏バテの範囲内なのか、それとも胃炎や胃潰瘍など、治療が必要な病気なのかを見極めるのが、私たち消化器内科の専門医の役割です。
「検査は苦しそう…」というイメージがあるかもしれませんが、当院では、鎮静剤を使用した胃カメラ検査も実施しています。
気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談くださいね。
来年の夏に繰り返さないための予防と体質改善
毎年やってくる夏の胃もたれは、その場しのぎの対策だけではなかなか断ち切れません。来年こそ快適に過ごすためには、今から胃腸に優しい生活を習慣にし、夏に負けない体づくりを始めることが何よりの近道です。
夏を乗り切るための食事と水分補給のコツ
夏の食事は、①胃腸を冷やさない ②消化の負担を軽くする ③規則正しく食べるの3つが基本です。1日3食、なるべく同じ時間に食事を摂ることで、胃腸の働きをコントロールする自律神経のリズムが整いやすくなりますよ。
【食事で心がけたいこと】
-
消化に良い食材を選ぶ
鶏のささみや白身魚、豆腐、おかゆ、よく煮込んだうどんなど、胃に負担をかけにくいものがおすすめです。薬味としてショウガやネギを少し加えると、血行を助け、胃の働きをサポートする効果も期待できます。 -
「腸活」と「胃活」は少し違う?
「胃腸のために」と、食物繊維やオリゴ糖を意識して摂っている方も多いかもしれませんね。
もちろん、腸内環境を整えることは健康の基本です。ある研究では、善玉菌のエサとなるプレバイオティクスを摂ることで、暑さと運動による腸のダメージが和らいだ、という報告もあります※。
しかし、同じ研究で、胃もたれなどの自覚症状には大きな変化が見られなかった、という興味深い結果も出ているのです。
これは、「腸を元気にするアプローチ」と「弱った胃を直接いたわるアプローチ」は、少し分けて考える必要があることを示唆しています。
腸活を続けながらも、胃もたれを感じる時は、やはり消化の良い食事で胃を休ませてあげることが一番の近道といえるでしょう。
【水分補給のポイント】
冷たい飲み物の一気飲みは、胃を直接冷やして機能を止めてしまう原因になります。
常温の水やノンカフェインの麦茶などを、一度にたくさん飲むのではなく、「こまめに、少しずつ」口に含むように心がけてみてください。
胃腸に優しい生活習慣の作り方
胃腸の健康は、食事だけでなく、日々のちょっとした習慣の積み重ねによって作られます。適度な運動や質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整え、夏バテしにくい体質へと導いてくれますよ。
-
軽い運動で自律神経を整える
ウォーキングやストレッチなど、軽く汗ばむ程度の運動を習慣にしてみましょう。血行が良くなるだけでなく、乱れがちな自律神経のスイッチを整える良いトレーニングになります。
ただし、食後すぐの運動は消化の妨げになるため、1時間ほど空けてから行うのがおすすめです。 -
質の良い睡眠で胃腸をメンテナンス
寝苦しい夜は、エアコンの温度を28℃程度に設定したり、タイマー機能を活用したりして、快適な睡眠環境を保つ工夫が大切です。
睡眠は、日中フル稼働した胃腸が休息し、メンテナンスを行うための貴重な時間。睡眠不足は、自律神経の乱れに直結し、胃腸の不調を引き起こす大きな原因になります。 -
冷えからお腹を守る
冷房の効いた室内では、カーディガンを羽織ったり、腹巻きを使ったりして、お腹周りを冷えから守ってあげてください。
夜はぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのも効果的です。体が芯から温まることでリラックスモードの「副交感神経」が優位になり、胃腸の緊張もほぐれていきます。
まとめ
夏に胃もたれしやすいのは、冷たいものの摂りすぎで胃が冷えること、屋内外の温度差で自律神経が乱れること、そして暑さによる睡眠不足が重なり、胃腸の機能が低下するためです。
これらの原因によって胃の消化機能が落ちるため、まずは胃を休ませる食生活や生活習慣の見直しが大切になります。
セルフケアや市販薬を試しても不調が続く場合は、単なる夏バテではなく、治療が必要な病気が隠れている可能性も考えられます。
つらい症状が2〜3日以上続く、あるいは悪化するようなら、自己判断で我慢せず消化器内科を受診しましょう。
来年の夏を快適に過ごすためにも、専門家と一緒に根本的な原因から見直してみませんか。
参考文献
- Rauch CE, Henningsen K, Martinez I, Young P, Mika A, Huschtscha Z, McCubbin A, Henry R, Anderson D and Costa RJS. "The Effects of Prebiotic Supplementation on Markers of Exercise-Induced Gastrointestinal Syndrome in Response to Exertional Heat Stress." International journal of sport nutrition and exercise metabolism 35, no. 4 (2025): 273-290.
- Gaskell SK, Burgell R, Wiklendt L, Dinning P and Costa RJS. "Does exertional heat stress impact gastrointestinal function and symptoms?" Journal of science and medicine in sport 25, no. 12 (2022): 960-967.

